畳に座り、障子から差し込む光を感じる和室――。その美しさを守るには、正しい掃除の仕方を知ることが欠かせません。
この記事では、和室掃除の基本ルールから、畳・壁・障子・襖・敷居・白木それぞれのケア方法、掃除道具の選び方、そして日々続けられるお手入れの習慣まで、順番にわかりやすく解説します。
和室を美しく保つ掃除の基本ルール
和室をきれいに保つためには、日々の掃除がとても大切です。
畳や障子、砂壁など、和室特有の素材はデリケートなため、掃除の仕方にも少し工夫が必要です。
ここでは、和室掃除を始める前に知っておきたい基本ポイントと、掃除にぴったりなタイミングについて紹介します。
和室掃除を始める前に知っておくべきこと
和室の素材は、普通のフローリングや壁紙とは違って、とても繊細です。
例えば、畳は水分に弱く、強く擦ると表面が傷ついてしまいます。砂壁や珪藻土壁は、触っただけで粉が落ちることもあります。
掃除を始める前に、まず「力を入れすぎないこと」と「乾いた状態を保つこと」が大切です。
そして、掃除機を使うときは、強い吸引力ではなく、ソフトブラシモードなどを使うと安心です。
また、掃除道具にも注意しましょう。
フローリング用のモップや濡れた雑巾ではなく、乾いた柔らかいクロスや専用の掃除道具を使うと、和室を長持ちさせることができます。
掃除に適した天気とタイミング
和室掃除は、できるだけ天気の良い日に行うのがおすすめです。
特に畳は湿気に弱いため、湿度が高い日や雨の日に掃除すると、カビの原因になってしまうことがあります。
晴れた日で、風通しの良い時間帯に窓を開けて掃除をすると、ホコリや湿気を一緒に外へ逃がすことができます。
さらに、朝や午前中に掃除を済ませると、畳や障子がしっかり乾くので安心です。
忙しい日常の中でも、週に1回、しっかりと掃除する習慣をつけると、和室をずっと快適な空間に保つことができますよ。
和室掃除に役立つおすすめ道具リスト
和室の掃除にあると便利な道具は、畳や白木、障子といった繊細な素材に優しいものを選ぶのがポイントです。
おすすめは、次の通りです。
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毛先の柔らかい掃除機(弱モード対応)
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乾いた柔らかい布やクロス
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羽ぼうきやハタキ(静電気が起きにくいもの)
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白木専用クリーナーや白木用消しゴム
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クイックルワイパーなどの軽い床用ワイパー
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マイクロファイバークロス
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細いノズル付き掃除機(敷居や溝掃除用)
これらを揃えておけば、畳から壁、障子まで、和室全体を安心して掃除できます。
和室の畳の掃除方法
和室の掃除で特に気をつけたいのが、畳のお手入れです。
畳は見た目以上にデリケートな素材なので、正しい掃除方法を知らないと、すぐに傷んでしまうこともあります。
ここでは、畳掃除の正しいやり方と、絶対に避けるべきポイントをわかりやすく紹介します。
畳掃除の正しいやり方
① ほこりをやさしく取り除く
まず、掃除機かほうきを使って、畳の目に沿ってやさしくゴミを取り除きます。
ここで大切なのは、畳の目に逆らわず、力を入れすぎないこと。掃除機を使う場合は、「弱モード」や「ブラシ付きヘッド」を使い、表面をなでるように動かすと畳を傷つけずに済みます。
ほうきを使う場合も、毛先が柔らかいタイプを選び、やさしく掃くのがおすすめです。
また、ロボット掃除機を使いたい人も増えていますが、畳の場合は注意が必要です。吸引と水拭きが一体になったタイプでは、畳の上で水拭きしてしまう恐れがあります。
そのため、畳の上ではモップを自動で持ち上げる機能があるNarwalのモデルを選ぶと安心です。
② 乾いた布で軽く拭く
掃除機やほうきでゴミを取り除いた後は、乾いた柔らかい布で、畳の表面を軽く拭きます。このときも力を入れすぎず、畳の目に沿ってやさしくなでるように拭くことが大切です。
湿った布を使うと、畳に水分がしみ込み、カビや変色の原因になるので、必ず乾いた布を使いましょう。
③ 風通しを良くして乾燥させる
最後に、窓を開けて部屋に風を通し、畳をしっかり乾燥させます。掃除の後、湿気をためたままにすると、カビやいやな臭いが発生する恐れがあります。できれば、晴れた日の午前中に掃除をして、自然乾燥を促すとさらに効果的です。
畳掃除で絶対にやってはいけないこと
濡れた雑巾で強くこする
畳は水分に非常に弱いため、濡れた雑巾でゴシゴシこすると、表面が毛羽立ったり、内部に湿気がたまってカビが発生するリスクがあります。
洗剤や重曹を直接使う
畳の汚れを落とそうとして家庭用洗剤や重曹を使うのは厳禁です。これらは畳の表面を傷めたり、変色させてしまう恐れがあります。特に漂白剤が含まれている製品は絶対に避けましょう。
畳の目に逆らって掃除機をかける
掃除機を強い力で押し付けながら、畳の目に逆らって動かすと、畳表がめくれたり、目が広がってしまいます。掃除機は、必ず畳の目に沿って、優しくかけるよう心がけましょう。
和室の壁の掃除方法:砂壁・珪藻土・漆喰別
和室を掃除するとき、壁のお手入れにもひと工夫が必要です。
砂壁はハタキで優しく払い、珪藻土壁は乾いたブラシでそっとホコリを取る、漆喰壁は柔らかい布で軽く拭き取る――それぞれに正しい方法と注意点があります。
ここでは、砂壁・珪藻土・漆喰壁ごとの掃除のコツをわかりやすくまとめます。
砂壁の掃除方法
砂壁は、砂を固めて作られている壁で、手で軽く触っただけでもポロポロ砂が落ちるほど繊細です。
例えば、部屋を歩いていて肩がちょっと当たっただけでも、壁に跡がついてしまうことがあります。
砂壁の掃除をするときは、まず柔らかいハタキや羽ぼうきを使い、上から下へふわっとホコリを落としましょう。
強く叩いたり、手でゴシゴシこするのは絶対にNGです。
掃除機を使いたい場合は、ノズルを壁に直接当てずに、少し離れた位置から弱い力でホコリを吸い取るようにします。
もちろん、水拭きは厳禁。砂壁は水分にとても弱く、濡れると一気に崩れてしまうので注意が必要です。
珪藻土壁の掃除方法
珪藻土壁は、梅雨のジメジメを和らげたり、部屋のニオイを吸収してくれる便利な壁材です。でも、実は表面が粉っぽくて、少しこすっただけでポロポロと削れてしまうことも。
掃除のときは、毛の柔らかいブラシが付いた掃除機を、壁から5センチくらい離して使うのがコツです。
手で直接なでたり、硬いブラシでこすったりすると、すぐに表面が削れてしまうので注意しましょう。
もし汚れが気になる部分があれば、乾いたスポンジをそっと押し当てるだけにして、ゴシゴシ擦らないようにします。
水拭きも避けたほうが安心です。湿気を吸いやすい珪藻土は、濡れると壁の劣化が早まるからです。
漆喰壁の掃除方法
漆喰壁は、白くてなめらかな見た目が美しいですが、これも意外とデリケートです。特に、乾燥してくると、小さなヒビが入りやすくなります。
掃除をするときは、乾いた柔らかい布や羽ぼうきを使って、やさしく表面のホコリを払います。
掃除機を使う場合も、ノズルを直接壁につけず、軽く浮かせて弱モードで使います。
汚れが目立っても、ゴシゴシこするのは厳禁です。
もし表面に小さなヒビを見つけたら、無理に触らず、そのまま様子を見るか、気になる場合は専門業者に相談すると安心です。
応急処置として、乾いた刷毛(はけ)でそっとホコリを取り除くだけでも十分です。
和室の障子、襖、敷居の掃除方法
障子の桟(さん)の掃除方法
障子を掃除していると、白い紙の部分よりも、木の桟に溜まったホコリが気になることがよくあります。軽く手で払っただけでは取りきれないし、強くこすると紙を破ってしまいそうでドキドキしますよね。
そんなときは、やわらかい筆や小さなハケを使って、桟の隅にたまったホコリをそっと掃き出します。力を入れずに、なでるように動かすのがコツです。
掃除機を使う場合は、吸引力を弱めて、少し離して使うと安全です。
もし紙の部分に手が触れてしまったら、押さえたり引っ張ったりしないこと。破れたら修理が大変なので、できるだけ優しく扱いましょう。
襖の掃除方法
襖も、気づかないうちに手垢やホコリがついてしまう場所です。特に、取っ手の周りは触ることが多いので、うっすら黒ずんでいることも。
襖の掃除には、乾いた柔らかい布が活躍します。強くこすらず、表面をそっとなでるようにして汚れを拭き取ります。
汚れが目立つところは、消しゴムで軽くこすってみるのも一つの方法です。ただし、消しゴムのカスが残らないよう、最後にやさしく払いましょう。
濡れた雑巾は絶対に使わないこと。紙がよれて波打ったり、跡が残ったりするので注意が必要です。
敷居の掃除方法
意外と忘れがちなのが敷居です。障子や襖を開け閉めするときに、敷居に小さなゴミやホコリがたまると、動きが悪くなります。
敷居の掃除は、掃除機の細いノズルを使ってホコリを吸い取るか、乾いた布で拭き取るだけでOK。気になる汚れがあるときは、細い棒に布を巻きつけて拭き取ると、溝の奥まできれいにできます。
和室の白木部分の掃除方法
木の温もりを感じられる和室の白木部分も、掃除を怠るとあっという間にくすんでしまいます。白木は汚れが目立ちやすく、水分にも弱いため、掃除には特別な注意が必要です。
ここでは、白木を傷めずに汚れを落とすコツ、使える専用アイテム、そして白木を長持ちさせるメンテナンス方法を紹介します。
白木を傷めずに汚れを落とすコツ
白木の掃除で大切なのは、「強くこすらないこと」と「乾いた状態を保つこと」です。
手の脂やホコリがつきやすい白木部分には、まず乾いた柔らかい布を使って、やさしくホコリを払うのが基本です。力を入れず、ふんわりと表面をなでるように動かしましょう。もし汚れが目立つ場合は、固く絞った布で軽く叩くように拭き取ります。
ゴシゴシとこすると、表面の繊維がけば立ったり、黒ずみの原因になってしまうので注意が必要です。
また、白木は水を吸いやすいため、濡れた布で拭いた後は、そのままにせず乾いた布でもう一度やさしく水分を取ることが大切です。水滴が残るとシミや変色のもとになります。
白木掃除に使える専用アイテムとは
白木特有のくすみや細かい汚れには、「白木専用クリーナー」や「白木用消しゴム」が役立ちます。
軽い汚れであれば、白木用の消しゴムを使ってなでるように汚れを落とすだけで、見違えるほどきれいになります。ただし、初めて使うときは目立たない場所で試して、ムラが出ないか確認してから全体に使うと安心です。
専用クリーナーを使う場合は、直接白木にたっぷりつけるのではなく、乾いた布に少量しみ込ませ、軽く拭き上げるように使います。強く拭きすぎないことがポイントで、「少し物足りないかも」と思う程度のやさしい力加減が、白木の風合いを守るコツです。
定期メンテナンスで白木を長持ちさせる
白木をきれいに保つためには、汚れてから一気に掃除するのではなく、普段からこまめに手入れをすることが大切です。
例えば、週に一度、乾いたクロスでホコリを払うだけでも、汚れがこびりつくのを防げます。特に、柱の角や引き戸の縁など、手が触れやすい場所は意識してケアしましょう。
さらに、湿気が多い季節には、窓を開けて風を通し、白木が湿気をため込まないようにすることもポイントです。乾いた空気の中で自然なツヤを保つ白木は、和室にぬくもりと清潔感をもたらしてくれます。
和室掃除をもっと簡単にするためのお手入れ
和室をいつも気持ちよく保つためには、一度にまとめて大掃除をするより、普段から少しずつ手をかけることが大切です。
この章では、毎日・毎週できる簡単なメンテナンス方法と、季節ごとに行うべき和室の大掃除ポイントについて紹介します。
毎日・毎週できる簡単メンテナンス
和室のきれいを保つために、毎日やっておきたいのは「ホコリをためないこと」です。
例えば、朝の換気のついでに、乾いた柔らかい布でサッと畳や敷居のホコリを払うだけでも違います。
目に見えるゴミがなくても、軽くひとなでしておくだけで、ホコリやチリが積もるのを防げます。
週に一度は、少し丁寧に掃除機や羽ぼうきを使って、畳の目に沿ってホコリを取り除きましょう。
障子や襖の桟、窓の敷居にもハタキや小さなブラシを使ってホコリを払っておくと、溝にゴミが溜まるのを防げます。
白木部分は、乾いた布でふんわりと拭くだけでOK。
少しの手間を習慣にするだけで、大掛かりな掃除をしなくても、和室は十分きれいを保てます。
季節ごとの和室大掃除チェックリスト
季節の変わり目には、いつもよりしっかりとした掃除をして、和室をリフレッシュさせましょう。
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春
花粉の季節は、窓や敷居、障子の桟に花粉が溜まりやすいので、念入りにハタキがけを。花粉症の方にとっても、こうした対策も大切です。
畳も丁寧に掃除機をかけ、風通しをよくして湿気を飛ばします。 -
夏
湿度が高くカビが発生しやすい時期。
畳や白木部分をチェックし、必要なら乾いた布で拭き、除湿器を使って湿気対策をしましょう。 -
秋
気温が下がり、空気が乾燥してくる季節。
畳の乾燥しすぎを防ぐため、時々窓を開けて換気しながらホコリを取ります。
白木部分は乾拭きで自然なツヤを保ちます。 -
冬
結露が発生しやすく、障子や窓まわりに湿気がたまりがち。
こまめに乾いた布で水滴を拭き取り、カビや汚れの予防をします。
このように、季節に合わせたちょっとした工夫を加えるだけで、和室は一年中清潔で気持ちのいい空間に保てます。
和室掃除で未来へつなぐ美しい暮らし
和室掃除は、ただきれいにするだけでなく、畳や障子、白木といった日本らしい素材の美しさを守り、暮らしにやすらぎをもたらしてくれる時間です。
ちょっとした習慣を積み重ねるだけで、和室は一年中、心地よく、誇らしく迎えられる場所になります。
毎日の小さな手入れが、大切な空間を未来へつないでいく。
Narwalは、あなたが紡いできた時間と空間を、次の季節へ、次の世代へ、静かに運ぶお手伝いをしています。
暮らしのリズムにそっと寄り添いながら、和室に流れるやさしい時間を守り続けます。